ベトナムブログ

ベトナムにまつわるブログ。現地新聞やニュースサイトから気になるニュースを取り上げます。ベトナム留学2年。通訳・翻訳。関心分野はベトナム消費市場、労働力輸出(技能実習生制度含む)、訪日インバウンドなど

★ベトナム、サパのロープウェイに乗ってみた

3月中旬、調査のため訪れたサパで開業したばかりのロープウェイに乗ってみました。

開業すぐのロープウェイということでやや気が引けましたが、これも調査の一環ということで、挑戦です。

サパのロープウェイは…

・全長6325m、出発駅と終着駅の高低差1410mはいまのところ世界一

・終着駅からベトナム最高峰のファンシーパン山(3134m)まで石段を登ってすぐ到着

とあって、鳴り物入りで2月上旬に開業しました。

 

サパの観光局によると、ロープウェイ開業効果は大きく、国内からベトナム人旅行客が急増しているとのこと。確かに、何度も来ているサパですが、今回は今まで見たこともないくらいの数のベトナム人旅行客で溢れていました。

もともとは欧米人に人気の旅行スポットだったのですが、週末は圧倒的に国内旅行客の方が多い状況。これはここ半年くらいの大きな変化といえそうです。

 

ロープウェイの乗り場もベトナム人でいっぱい。そして中国人。欧米人はほとんど見かけませんでした。チケット売り場の人に聞いても、乗客はほとんどがベトナム人と中国人とのこと。欧米人はやはり、トレッキングに参加したり、自分の足でファンシーパン山を踏破するというのが馴染みの旅行スタイルのようです。

 

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(乗り場前は旅行会社の名前が入った帽子をかぶったベトナム人ツアー客が集まる)

 

出発駅から到着駅までは約20分。

料金は往復で600.000ドン(約3000円)。クレジットカードも使えるようです。

チケットを買ったら、ゴンドラに乗り込みます。従業員の接客も想像以上に丁寧です。

ゴンドラは35人乗り。

 

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ロープウェイは3部構成になっており、高低差約1400mを徐々に上がっていきます。

ゴンドラから見下ろすサパの風景は素晴らしいです。棚田や川、少数民族の集落が眼下に広がります。ただ、高さはあるので高所恐怖症の方にはお勧めしません。

 

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ゴンドラで一緒になったベトナム人グループも大盛り上がりです。

ベトナム人男性の1人は奥さんに電話して「何か最後に言っておきたいことはある?」なんてジョークをとばし、ゴンドラ内では笑いが起こります。

 

約20分で到着。終着駅は標高3000mとあって、風も強く長袖を着ていても寒く感じるほど。

この石段を上れば、ベトナム最高峰のファンシーパン山の頂上に到着です。

 

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(ファンシーパンの頂上は石段の上)

 

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(終着駅からサパ方面)

 

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駅舎は新しく、展望スペースなどまだ作業中のところもあり、少数民族と思われる工員が働いている姿を多く目にしました。

あとで少数民族の村でインタビューをした時に聞いたのですが、ロープウェイ建設にあたっては、多くの少数民族が工員として雇用されたそうです。高地で天候も安定しない頂上付近で危険な工事作業にあたるため、現地相場では破格の給料を設定し、人員を確保しています。残念ながら、工事の過程では転落等の事故なども発生したそうです。胸が痛みます。

 

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駅にはお土産屋のほか、少数民族の手芸品などを使ったおしゃれな家具が用意されたカフェもあります。このカフェでは日本語を勉強したいと必死に話しかけてくるベトナム人従業員さん(男性)と出会いました。日本人旅行客が来た時に備えて、いくつか言葉を覚えてきたいとのこと。簡単なあいさつを教えました。もし駅舎のカフェで「ありがと」「こにちは」と話しかけてくる若い男性がいたら、彼かもしれません。

 

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(出発駅の周辺。出発駅まではサパの町からタクシーで10万ドン程度

頂上付近を満喫したのちは、ロープウェイでサパに戻ります。行列もなく、すぐに乗車できました。

 

まだ日本人や欧米人の乗客は少ないようですが、ベトナム人の国内旅行地としては、一気に知名度を上げています。14年9月のハノイーラオカイをつなぐ高速道路の開通、16年2月のロープウェイ開業の2要素が国内旅行客の増加を後押ししています。

 

この急激な観光化がサパで暮らす少数民族に暮らしにどの影響を与えていくのか、調査を続けていきたいと思います。