ベトナムブログ

ベトナムにまつわるブログ。現地新聞やニュースサイトから気になるニュースを取り上げます。ベトナム留学2年。通訳・翻訳。関心分野はベトナム消費市場、労働力輸出(技能実習生制度含む)、訪日インバウンドなど

★ベトナム、子供の肥満急増

★ホーチミン、子供の50%弱が過体重や肥満(VTV)

vtv.vn VTV映像ニュース付き

 ベトナムでは経済成長に伴う生活レベルの向上を受け、子供の肥満者数が急増しています。一般的に、肥満のまん延は経済発展が著しい新興国で深刻化する問題ですが、ベトナムも例外ではありません。

 私がハノイの生活を通じて個人的に感じた原因は、(1)ふくよか=健康・豊かの考え方(2)高身長・たくましい体格への憧れ(3)「我慢」の欠如 です。

 ベトナムには”Béo thì khoẻ, gầy thì yếu"(太は健康、痩せは虚弱)ということわざがあるそうです。言葉の通り、ふくよかな身体は強く健康であるという考え方です。高齢層中心にふくよかは豊かさの象徴として捉える風潮もあり、肥満=リスク大という概念が欠けているようにみえます。特にベトナム戦争の食糧難を経験している今のおじいちゃん、おばあちゃん世代(60代前後以上)は、豊かになった今、孫にできるだけ食べ物を与えたいという思いが強いようです。共働き夫婦が多いベトナムでは日中子供の面倒を見ているのがおじいちゃん、おばあちゃんというケースも珍しくなく、彼らに与えられるまま食べ続けると幼少期から肥満になる可能性が高まります。

 また、ベトナム人の体格は世界的に小柄(平均身長:男性約164cm、女性約154cm)といわれ、国を挙げて改善に取り組んでいる最中です。日本人もそうですが、ベトナム男性は背の高いたくましい体型に憧れています。ベトナムでは、将来の体型は生後数年の栄養状態が決め手となるという考えが広まっており、両親は将来の我が子のためにせっせと食事を与えている側面もあります。

 そして一番の問題は、子供がお菓子やミルクを欲しがっても我慢させる、つまり「与えない」という選択のできる大人が少ないことです。ベトナム人と旅行した時、多くの親が砂糖入りの甘いミルクやお菓子を子供に与え続けているのに驚きました。与えておけばおとなしくなって良いのはわかりますが…。これからは、まわりの大人が子供の栄養適正量をしっかり把握した上で、過剰摂取を防いであげる必要があります。

  豊かになってきたベトナムでは「健康」への関心が高まることが予想されます。正しい栄養知識の提供は一つのビジネスキーワードになりそうです。

 

<内容メモ>

ホーチミン市栄養センターによると、ホーチミンでは41.4%の子供が過体重(22.4%)か肥満(19%)

ベトナムの都市で、過体重や肥満の子供の数がたった5年で倍増

 ・子供の肥満に関心を持つ両親は少なく、肥満状態が高まってから診断に訪れるケースが大半

・肥満により糖尿や不正脈、高血圧といった病気が引き起こされるケースも増えている

・ホーチミン市栄養センターは15%の子供に高血圧の症状があるとしている